一言で言えば異質。
黒く切り揃えられている髪に、陶器の肌。人形なのだから当たり前なのだが、その血の通っていない様が何故か死体のように見えてしまった。
こんな場所だからなのだろうか。
「び、くりしたぁ…何でこんな所に人形が落ちてるの?」
「でもさぁ、御誂え向きだろ、これ」
「何が?」
一歩下がってしまった私には気にも止めず、その異質さに何の疑問も持たずに二人は会話に興じる。
次いで、怖がっていた筈の彼女の手は私から離れて彼の隣に立つ。彼はその人形に歩み寄って傍にしゃが込んだ。
「廃墟の人形、だなんて怖い話あるあるじゃん?」
「確かにあるあるだね」
「あっちに行った二人、脅かしてやんね?」
「うわぁ、最低」
「とか言ってお前も悪い顔してっぞ?」
二人の企みを後ろで聞いて、やめておいた方がいいのではないかと引き止めるように彼の腕に手を伸ばす。
私は無意識に手を繋いでいた方を持ち上げたようで、持ち上げた反動で繋いだ手は解かれた。
「…….え?」
いや待って。私は今、誰と手を繋いでいた?
だって、もう既に彼女は私と手を離した後だった筈だ。
なのに、なんで。
確かに今、手を振りほどいたような感触があった。


