「──ッ」



勢いよく上半身を起こすと、そこは見慣れた自分の部屋だった。

無意識に息を詰めていた私は、さっきまでの出来事が夢であったことを理解する。



「……びっくり、した……」



つぶやきながら、1度深く息を吐く。枕元に置いたスマホで時刻を確認した。

午前7時過ぎ……アラームをセットしていた時間よりは、20分ほど早い。

でも、いいや。私は構わずそのまま、ベッドから出て立ち上がった。


二度寝をする気分にはなれないし、少し早いけれど、このまま起きてしまおう。

それにしても、さっきの夢──。



「……シャレに、なんないなあ……」



思わずポツリとつぶやいて、自分のせいなのに気分が落ちてしまった。

こんなんじゃ、ダメだ。無理やり頭の中のマイナス思考を振り払い、出かける準備をすべく自室を出る。


……今日は、日曜日。

夢に現れた彼がキャッチャーとして出場する、野球部の試合の日だ。