「ははは、まじか。うれしいねぇ」
また、困ったような顔で、ククッと笑った。肩が揺れている。
「せんぱい、キョーダイとかいたんですか?お兄さんっぽい」
「んーん。俺はひとりっ子。でも、幼馴染がすぐ近くにいたんだよね。そいつが、すげー子どもっぽいというか、危なっかしかったから、いつも面倒見てて。それで面倒見が良くなったのかもしんない」
「幼馴染…ですか」
そんな人いたんだ。わたしは、こんな風に楽しく話せる幼馴染なんていなかったから、ちょっとだけ羨ましい。
ずっとそばで加野せんぱいのことを見ていたのだろうか。せんぱいの小さい頃、ちょっとだけ興味あるよ。
「せんせ〜〜い!こんにちは〜〜!」
やさしく笑う加野せんぱいを見ていたら、入り口から子どもたちが数人顔を出した。
それと一緒に、同じ曜日のほかの講師さんたちも入って来る。
それを、先に来ていたわたしたちは、入り口に立ってお迎えする。
「お〜〜っし。今日も元気だな。みんな学校は楽しかった?」
「たのしかったよ!ねぇせんせい、これみて。やすみじかんにつくったやつ」
「おおっ、すげー。つよそうじゃん!」
そして、今日も、加野せんぱいの後ろを、わたしは一生懸命ついていくんだ。仕事のパートナーとして。
せんぱいに、置いていかれないように。



