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「失礼しまーす…」
バイト先に着いて、室長に挨拶をして、控え室に入って行く。
いつも、ここにくるのは午後3時頃。だけど今日は、まだ2時半だ。かなりはやく来てしまった。
「……せんぱい、」
でも、それよりももっと、加野せんぱいは早く来ていて。
やっぱり今日も、いつものように夢の中。
いつもと変わらない寝顔で、スヤスヤと眠っている。
「…一体、何時に来てるんですか、せんぱい」
上着を脱いで、荷物の整理。鞄を片付けるついでに、買って来ていた栄養ドリンクをせんぱいのすぐ隣に置く。
「……」
ゆったりとした時間。土曜日のお昼は、いつもと違う感じがする。
お休みの日にも、せんぱいに会うことができるなんて、わたしはきっと贅沢者だ。
せんぱいと向かい合わせに座る。夢の中にいるせんぱいの表情を見ながら、わたしはその顔を覗き込んだ。
「…せんぱい、」
“ 夢の中でも好きって言ってくれた… ”
「…!!」
不意に、せんぱいが一昨日の夜に言っていたことを思い出して、思わず身体を離す。
あ、あぶないあぶない。また、同じようなことを呟いてしまうところだった。
せんぱいがいくら夢と思ってくれてるとはいえ、眠っている間にそんな恥ずかしいことを言ってしまっていたなんて、耐えられることじゃない。
しかも、もうせんぱいは、わたしの気持ちに気付いているわけで。わたしがつい、この間勢い余って告白してしまったわけで…。
もう、誤魔化すことはできない。