午後3時、きみと夢のなか



ずっと触れてみたかった、ふわふわの髪の毛に反対側の手を添えた。

そしてそのまま、頰まで滑らせて、両手でせんぱいの顔を包む。


「…そんなこと、しないですよ」


いつもはカッコいい加野せんぱいなのに、なんだか、違う人みたいだ。



…でもね、せんぱい。

こんなせんぱいでも、わたしは…。



「——わたしが、せんぱいのことがすきだから、そんなことしません」



わたしは、加野せんぱいが、だいすきだから。

だから、いいんだよ。弱いところを見せても、笑わないよ。



「———っ」


じっとせんぱいの方を見つめていたら、頰を包んでいた両手は、そのままぎゅっと握りしめられた。

そして、そのままグッと、せんぱいの方に引っ張られる。



「……、加野せんぱい…?」



フワッと、身体に被さってくる毛布。
いつのまにか、起き上がっている身体。
真面目な顔をしている、加野せんぱい。


何が起きたのか、最初はよく分からなかった。

だけど、目の前にいる加野せんぱいは、被せた毛布ごとわたしを引き寄せて言った。



「———ごめん、ひどいことした」



低い、低い落ち着いた声。



「…ひどいこと…?」

「…うん。本当、絶対にしたくなかったこと、してしまった。ごめん」

「…」



…ひどいことって、なに…?