午後3時、きみと夢のなか




「相変わらず暗いよな、ここ。俺でも怖いもん」


気がつくと、家の近くまで来ていた。

この間、真大さんと帰って来た時はそんなに思わなかったのに、やっぱり加野せんぱいと歩いてると時間があっという間だ。

…それくらい、せんぱいと一緒にいられることが、嬉しくて仕方ないんだな。


どうして、もっと遠いところにしなかったんだろうって、この時ばかりは思ってしまうよ。



「…せんぱい、この辺で大丈夫ですよ。もう、すぐそこなので」


身体が、芯から冷えるような感覚がする。もう真冬だ。

向かい合わせになったせんぱいの口元からも、次々と白い息が生まれている。

とっても寒いのに。この中をずっと歩いているだけでも大変なくらい、冷えるのに。


せんぱいと一緒にいると、そんなことも忘れてしまう。



「え?でも、すぐそこならそこまで…」

「いいんです。せんぱい、お客さん来るって言ってたじゃないですか!だからもう、早く帰らないと!」



…嫌なことも忘れてしまうくらい、せんぱいがすき。

でも、せんぱいはこれから、別の人と一緒に夜を過ごす。


別の人が待っているところに、帰っていく。




…あぁ、いやだ。


また、会ったこともない人に、こんな感情を向けてしまうなんて。