午後3時、きみと夢のなか


・・・

あれから加野せんぱいは、いつものようにわたしのパートナーとして仕事をしていた。わたしも、一緒にいつも通り頑張った。

子どもにはちゃんと笑顔で接することができたし、やらなきゃいけないことや、教えなきゃいけないことはすべてこなせたように思う。

それからも、何の変わりもなく仕事を終えて、真大さんより一足先にバイト先を後にした。



「はぁ〜〜。今日も疲れたな」


白い息を吐きながら、加野せんぱいはマフラーに顔を埋める。
その横顔を見つめると、午後3時ごろに起こった奇跡のような出来事が、脳内に浮かび上がってくる。


“ 真大に頼るのが嫌なの ”


「…」


…せんぱいは今日、確かにそんなことを言った。

どうして嫌だったのかとか、理由までもは話してくれなかったけど。

でも、わたしが真大さんを頼ってるのが嫌って思っているということが分かって、なんだか心はフワフワ状態。

きみかさんのことが頭から離れていないわけではないのに、どうしてこうも単純なのだろうか。わたしの脳みそは。



「凰香ちゃんは、明日も早いの?」


…せんぱいの顔も、ちゃんとまっすぐ見られるようになった。

きらきらしている。


「…明日は、2限からです。金曜日は割と緩めの時間割なので」

「そうなんだ。教育は必修多いらしいからね。2年生まではかなりキツイって、真大も言ってたわ」

「…はい、そうですね」


せんぱいの左側に立ってせんぱいの方を見ると、結構背が高いんだなあって実感する。

左目の下にあるほくろも、すごく印象的。長い睫毛も。形の整ったくちびるも。


…ぜんぶが、すき。