午後3時、きみと夢のなか



「…凰香ちゃん」

「…っ」


それでも、目線を合わせてくれたせんぱいに、わたしは何も言えなくて。

やっぱり、顔を見ると、せんぱいへの想いが次々に溢れてきて。

そして、見たこともない、会ったこともないせんぱいの幼馴染に、嫉妬してしまう。

…ほんと、ばかみたい。



「…凰香ちゃん、今日はちゃんと俺に送らせて。お願いだから」

「…っ、でも」

「でもじゃなくて」

「…!」


伸びてきた指が、目尻に触れた。

まだ残っていたのか、そっと涙を拭われて、せんぱいは笑ってくれる。

そのやさしい笑顔に、心臓がドキッと跳ねた。


「…なんで、こんなに優しくするんですか。やめてください…」


…わたしのこと、そんな風に見ないでほしい。わたしは、せんぱいのこと、本当に好きなのに。


「…優しくって、どーいうの?」

「それは…、家まで送るとか、こうやって涙拭うとか、もう、全部です…」

「……ふーん…」


ふーんって。
なんですか、その余裕の笑顔は。


「そーやって子供扱いするのも、ヤです」


せんぱいにとっては、わたしなんてまだまだ子どもかもしれないけど。