午後3時、きみと夢のなか



「さっきからボーっとしてるけど。大丈夫?」

「えっ?あ…」


眉間に皺を寄せている加野せんぱい。心配そうな表情。そして、何も進んでいない真っ白な紙が目の前に。

いけないいけない。早く書かなきゃ、帰れなくなっちゃうよ。


「ごめんなさい。ボーっとしてました」

「ふーん。そんなに疲れてんの?」

「はい、何だか今日は色々ありましたから。親友の彼氏さんにも偶然会っちゃいましたし!」

「…」


真大さんに会ったことは、結構大きな出来事だった。まさかこんな偶然で出会うなんて思っていなかったし。

何より、加野せんぱいと知り合いだったなんて、知らなかったし。


「…加野せんぱいと真大さんは、顔見知りだったんですよね?あの…、友達、とか?」


…聞いてみていいかな。まさかそこが繋がっていたなんて、知らなかったし。


加野せんぱいは、視線だけわたしの方に向けると、少しだけ考え込んで。

「うん、ここの教室来る前にね、同じとこで授業やってた」

少しだけ笑いながら、そう答えてくれた。


「…へぇ。同じ教室だったんですね」

「そーだね。同い年だし。まぁ話しやすいよね。大学も同じだしさ」


学部は違うけどね、と、少し苦笑しながら、加野せんぱいは言った。

…やっぱり、ただの顔見知りなんかじゃなかったんだ。それってもう、ほぼ友達みたいなもんだよね。