午後3時、きみと夢のなか



・・・


「はぁ〜…。今日も疲れました…」


無事に授業を終えて、子どもたちを見送った後、わたしは準備室の机に倒れこんだ。
今日も何とか加野せんぱいに付いて回っていたけれど、身体はもうクタクタだ。


「おつかれ。早く後処理して帰ろうか」


コツンと、頭に何かが当たった。
何だろうと上を向くと、そこにはホカホカのココアを持った加野せんぱい。

子どもたちとの遊びを終えたついでに、飲み物を買ってきてくれたみたいだ。


「…ありがとうございます」

「んーん。凰香ちゃんだっていつも俺にくれるでしょ」

「…」


…美味しそう。わたしがココア好きなの知ってて買って来てくれたのかな。

なんて、そうだったら嬉しいなっていう、妄想だけど。



「…先輩はこの後どうするんですか?お家?」

「ん〜。今日は大学に戻ろうかな。月曜日だし、出来るだけ頑張らないと後々大変だから」

「…そうですか」


そっか。今日は大学に行くんだ。ということは、一緒に帰ることは無理かな。


「1人で平気?送って行こうか」

「え!?」


予想もしない声が聴こえて、思わず先輩の方を振り返った。
加野せんぱいは優しい顔をこちらに向けながら、わたしの返事を待っている。

…ほんと、こういうところ、ずるいと思うんだ。


でも、その短い時間の間にも、目に入ってくる加野せんぱいの疲れた顔。

…早く行けばその分レポートも出来るんだよね。