午後3時、きみと夢のなか



若い男の人。かっこいい。イケメンだ。

首からは、わたしと同じ講師の名札を下げているから、きっとこの塾でアルバイトをしている人に違いない。


…あれ?
でも、なんだろう。この人、どこかで…。


「1年前の授業ぶりだよな?お前なんでこんなところにいるんだよ、真大」

「急遽、曜日変更した主婦の講師さんの代わりなんだよ。空きがなかったから今まで入れられてなかったんだけど、3日前に連絡きて」

「まじか、じゃあ今日からここで教えるんだな」

「そーそー」




………まひろ…?

まひろ、マヒロ、真大…。


見たことのあるイケメン。頭の中の記憶を探り出して、その正体を考える。

でも、その答えは、意外にもすぐに思いついた。


「…あ!」


思い出した。思い出した。絶対、間違いないよ。



「…もしかして、長瀬真大さん、ですか…!?」



呼び止めて、振り返った2つの背中にハッとする。

…やばい、思わず割り込んで聞いてしまった。なんだこの女状態の空気を作ってしまった。

呼んで1秒で後悔。
だけど、驚いた顔をしていたイケメンは、しばらくわたしの方をじっと見て、すぐに目を見開いた。


「…あれ…?もしかして、もしかしなくても、凰香ちゃん…?」

「あ〜〜!そうですそうです!凰香です!!」


よかった〜〜!間違ってなかった!

やっぱりそうだった。この人、長瀬 真大(ながせ まひろ)さんだ!