「…っ、わたし、真面目ですか?」


せんぱいに褒められて、足の先から熱が上がっていく。こんな些細なことなのに、嬉しくてしょうがないとはしゃいでいるわたしは、まだまだ子どもだと思う。


「真面目だよ。俺の言ったこと全部自分の力にしようとするところとかね」

「…そんなの、せんぱいから教わったことなんですから、当たり前じゃないですか」


加野せんぱいが教えてくれたことは、全部全部自分のものにしたい。そう思っている自分がいるのも事実。だから、わたしは別に真面目なんかじゃない。

せんぱいが好きだから、一生懸命になれているんだよ。


「…そーいうとこが、良いところだって言ってんだよ」

「…っ」


大きな手が伸びてきて、ふんわりと頭の上に乗った。そして、そのままよしよしと撫でられる。


「…子ども扱いですか?」

「ちげーよ。良い子だって思ったから、俺がしたくてしてんの。ダメ?」

「…っ」


そういう聞き方するところ、せんぱいのずるいところだ。

好きな人にこんなことされて、ダメだって言う女の子なんていると思ってるんですか。少なくともわたしは絶対に言わない。だって嬉しいんだもん。

…もっと、頑張ろうって思っちゃう。