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眠りが浅いと、夢を見やすくなるというのを聞いたことがある。
最近は、うたた寝することが多くなってきたからかな。何度も何度も、短い夢を見る。
そのなかに出てくる笑顔は、相変わらずやさしくて。ほんわかと、陽だまりのように黄色い光とともに俺の頭を埋め尽くす。
…今、何してるかな、とか。ちゃんと、あいつと笑えているかな、とか。
そんなことを考えていたらさ、もうこんなにも時間が経ってしまったよ。
…その中で、俺は何回、きみの笑顔を夢のなかで見たんだろう。
でも、その笑顔を見ても、心がぎゅっとくるしくならなくなった。
きみの笑顔を見て、ほっとできるようになった。笑えるようになった。
そうなったのは、いつからだろう。
「——— ねぇ、せんぱい」
…うん、大丈夫だ。大丈夫だよ。
だから、もうすこし大きな声で言って。
もっと、ちゃんと、導いてほしい。
「…せんぱいのこと、ちゃんと、心から想ってる人だっているんです」
…俺は、臆病だから。
もう、こんな想いはするまいと、心のどこかで、おそれていたから。
ねぇ、もっと、こじあけて。
もっともっと、名前を呼んで。
そして今日も、きみの声で目を覚ましたい。
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