恐怖の渦の中


そう言い残すとドアを閉めて家の中に戻ってしまった。俺はため息を吐いて、自転車を停めて千恵の家の中に入った。

家の中は俺の家と変わらず薄暗く、玄関の所に千恵はポツンと立っていた。
千恵はどこか顔色が悪かったし、気分が悪そうにも見えた。


「何しに来たの西条君?」


弱々しい声でボソッと呟くように話し掛け、千恵の状態は外見と比例して中身も弱っていることが分かった。


「さっきの通りに聞きたいことがあるんだ。それより大丈夫か?顔色悪いぞ?」


「大丈夫。ただの寝不足だから....」


「寝不足...か。」


まるでこの前の里沙と同じような理由だ。目の下のクマは無くとも、千恵は精神的にボロボロなのは雰囲気で分かる。


「...ここじゃああれだから、私の部屋に来て。飲み物とか無理だけどいいでしょ?」


俺の返事を聞く前に千恵は俺を半場強引に誘導して、俺はそれに逆らえずに二階の部屋に入った。

口うるさく、"笹委員長"と影ながらも呼ばれる人物だが、部屋の内装を見て無駄を必要としない最低限主義者と思っていた彼女の印象が崩れていった。

千恵の部屋にはぬいぐるみが沢山置いてあった。勉強机に三体に窓の端に一体づつ、ベット付近はぬいぐるみのオンパレードだったのだ。