恐怖の渦の中



強引ではあるが、小さい石ころを何個か持つと、一斉に千恵の窓目掛けて投げた。一・二個は外れてしまったが、残りの何個かは命中してカンッカンッと音が鳴った。
これで千恵の意識は完全に外になるだろうし、寝ているならもしかしたら起きるかもしれない。


「千恵!!いるか!?頼む、聞きたいことがあるんだ!」


俺は電気が付いてカーテンで隠れている部屋に向かって大声で呼び掛けた。近所迷惑だろうが、周りは殆ど人は居ないはずなので、あまり気にはしなかった。

数秒後、カーテンの端がめくり、こちらを見てくる目を見つけてギョッとした。俺と目が合うとすぐにカーテンが完全に閉ざされてしまった。

それから数十秒は粘ってはみたものの、一向に千恵は顔を出しては来なかった。
目が合ったのに出て来ない。つまり、千恵であっても無くても話すつもりはないと言うことだ。

俺は自転車にまたがり、次は敦の家に行こうとしたところで、ガチャっという音が俺の耳に入ってきた。
音の発生源を見てみると、そこには私服に着替えていた千恵がドアを半開きにして、まるで人見知りの子供のように出てきた。だが、何故か目線は下の方だった。


「....いいよ、はいってきて。」