恐怖の渦の中


自分が野宮さん側だったらきっと相手にしない。たが、里沙の死因が死因なので、野宮さんは俺の証言が絶対に嘘だとは思わなかったのか、考えながら喋りかけてきた。


「その時は里沙さんは頭を抱えていて、側には誰もいなかった....だよね?」


「はい。誰も近付けなかったです。」


「そうか....じゃあ本当に今回は失礼するよ。
...後、敦君か千恵さんの自宅へ行こうとするならあまり賛成はしないかな?我々が行っても相手して貰えないからね。結構精神に来てると思うよ。
それじゃあ。」


そう言い残して野宮さんと坂目さんは、家のすぐ目の前にある黒塗りの車に乗り込み、エンジン音を残してその場を去っていった。
流石は警察官と言った所か、俺の出掛ける理由はお見通しだったようだ。だが、学校に連絡するような言い方ではなかった事に、少しホッとした。

だが、これで俺は晴れて警察のマークが強くなってしまう事になった。あんな強引な事は普通はやらないからだ。だが、別にそれでもいい。疑わしく思われて、ストーカーみたいなことをされても犯人は俺じゃないし、証拠なんて出るわけがない。

俺はすぐに玄関のドアを閉めると、必要最低限の物を持って、寝癖を直すのをすっかり忘れながら裏口から出た。鍵でしっかりと施錠し、ポケットの中に突っ込むと、自転車にまたがり千恵の家まで向かった。