俺が喋り始めると、斜め後ろにいた坂目さんはボールペンを手帳内で滑らせるように書き留めていた。
「そうか...里沙さんは事件前、別件で死体の第一発見者だったんだけど、知ってるかな?」
「はい、知ってます。」
「その後、彼女は四日程学校を休んで復帰した訳だが、その休み中に里沙さんと連絡は?」
「いえ、本当に里沙とはあまり接点がないから、連絡する意味も電話番号も知らなかったんで....親友の吉永も連絡が取れなかったっぽいです。」
「そうか....なら、復帰後はどうだったかな?ちょうど学園祭の前日と当日は、里沙さんの様子はどうだった?」
「えっと....里沙はいつも通りに戻っていました。ってか、いつも以上にテンションは高かったですけど、睡眠不足らしくてクマがありました。」
「ほう....なら、事件発生直後の里沙さんはどうだった?何か不振な点はあったかな?」
「不振な点....里沙は窓の外を見てて何かを凝視してました。それから里沙はおかしくなったんです。」
「何かとは何なのかな?」
「いえ、自分にも分からないです。いつも通りの景色しか目には入ってなかったです。」
俺が質問に答えても坂目さんは全然ボールペンを走らせなかった。



