俺は涙が止まらず、加奈を抱き締めていた。
抱き締めずにはいられなかった。
すると後ろから拍手の音が聞こえてきた。
鬣犬だった。
「うわぁ〜これって"恋"ってやつでしょ?勉強てま知ってたけど本物は初めてだぁ〜....しょうもないね!それって...意味あんの?」
「鬣犬....てめぇ....」
「あぁ、止めといた方がいいよぉ〜。折角助けてあげようとしてるのにさぁ〜。態々死のうとしなくていいじゃん。」
「は?」
さっきまで俺達を殺そうとして色々と危害を加えてきていた鬣犬から予想外の事を言われ、俺は目が点になった。
「だからぁ〜、殺さないでここから逃がしてあげるってこと。だけど、私のお願いを聞いてくれたらだけどねぇ〜。」
「....一体どういう風の吹き回しだ?なんだ?願いって。」
「その前に!...あんた...私の事...怖い?
怖くて怖くてたまらない?」
鬣犬は低い口調でそう言った。重々しく身の毛がよだつ程の冷酷な感じがした。
「...怖かねぇよ。もうてめぇなんざ怖くねぇさ。」
俺は鬣犬を睨むと、笑顔で返ってきた。
「あぁそう!"もう怖くないのね"!うんうん...分かった。じゃあ言うね。



