「はぁ……」
「ちょっと絃、ため息つきすぎよ。幸せ逃げるわよ?」
次の日、私が登校してから何度瞳にため息をつきすぎだと注意を受けたことか。
「またしてた?」
「もう、いい加減何があったのか話なさいよ」
半分呆れながら、お弁当のタコさんウィンナーを頬張る瞳。
こんな感じで、昨日の出来事を聞かれているのだけれど、どこからどう話したらいいのやら。
弟のように可愛がっていた男の子に押し倒されました?
好きになったと言われました?
急に男の子だと感じさせられた?
思い出すだけで身体が熱を持つし、なんと言っても恥ずかしい。
まず、このことをどう瞳に説明するの?
あのイケメン佐伯家3兄弟とワケありで同居しているのは、絶対の秘密事項。
今も実家で家族と暮らしているはずの私が、男の子と一緒にいて押し倒されたなんて……
そんなシチュエーションになる理由を、説明する語彙力なんて私には持ち合わせていない。



