今まで、恋愛なんてした事がなくて、ドキドキする気持ちも男の子の色っぽい顔も、少女漫画の世界の中でしか見たことがなくて…… 「じゃあ僕、お風呂行ってくるね」 葵くんは何もなかったかのようにいつも通りに戻ってて、私をそのまま残して行ってしまった。 「……なんだったの、今の」 あまりにも長いようで、一瞬の出来事だった。 それから私は、その場から動けずにただソファーに座り込んでいた。