「ふぅ……」



チャポンと湯船に水滴が跳ね返って音が響く。



気を使わないこの時間が一番楽だったりする。



温かいお風呂に入るって、とても幸せだから。



ぼーっと湯船に浸かっていると、



『絃ちゃんのこと好きなっちゃったかも!』



葵くんのあの一言が思い浮かぶ。



「うぅ……葵くん、本当かな」



あんな無邪気な笑顔で、葵くんが嘘をつくような子には見えない。



3兄弟の末っ子で、可愛らしい葵くんは、一人っ子の私にとってもなんだか可愛い弟が出来たみたいで嬉しい。



そんなふうに見てしまうから、なんだか変な感じ。



私がここに住める条件は、3兄弟全員を落とすこと。



だから、葵くんが私を好きだと言ってくれるのは、一つの目標を達成したわけで嬉しいんだけど……



こんなの初めてだから、わからないよ。