「あ、葵くん?」



状況がまだ掴めていないのか、細かく瞬きをして僕をしたから見つめてくる絃ちゃん。



「絃ちゃん。僕だって、男だよ?」



「……へっ?」



この子は天然なんだろうか。



仮にも男に押し倒されてるっていうのに、逃げようと抵抗もしてこない。



「だから、こういうこと」



顔をぐっと近づけて、耳打ちする。



ピクっと反応する絃ちゃんが可愛い。



唇は悪いかと思って、まだ冷静に判断できたその頭で考えて……



絃ちゃんの白い首筋に、そっとキスをした。



「……っ!あ、葵くんっ!!」



そこまでして、やっと事の重大さに気がついた様子の絃ちゃん。



僕の胸を叩いて、必死に抵抗してくる。



「男には、そんな力じゃ効かないよ?」



「うっ」



それでも目を潤ませながら、胸を叩く手は止まらない。