一つ下の葵くん。



歳下でも、背は見上げないといけないくらい高い。



「……っ」



葵くんって、こんなに背が高かったっけ?



葵くんって、こんなに男の子らしかったっけ?



どこかで私は、歳下だからと、弟みたいだと……



そんな目で見ていたのかもしれない。



目の前の葵くんは、ちゃんと男の子だ。



急に意識してしまった私は、胸のドキドキが止まらない。



葵くんは、挙動不審になっている私の頭に大きく温かい手を乗せて。



「覚悟、しておいてね?絃ちゃんっ」



心臓が、止まるかと思った。



「ふふっ。あとは絃ちゃん学校まで行けるよね?じゃあ、また後で」



気がつくとそこはもう最寄り駅で、葵くんはさっきまでの男の子の面影はなく、可愛らしい無邪気な笑顔で、手を振りながら行ってしまった。



「なん、なの……」



蓮くんといい、葵くんといい……



私を惑わす、天才なのかもしれない。