「……あっははっ、それで、粉々にっ……あは、ぶりっ子ってあんまり好まれないしね」



「え、それじゃ……」



「ふふ。絃がさ、突然変なこと言い出すから、ちょっとからかいたくなっちゃって。本当に実行したのね?」



ぽかんと口を開けて、呆然と立ち尽くす私の目の前で、お腹を抱えながら大笑いする瞳。



私を騙したってことよね?



「ひーとーみー?」



「もう、ごめんって。そんな怖い顔しないの」



目に涙を浮かべながら笑い続ける瞳からは、謝罪のしゃの字も伝わってこない。



「それで、ぶりっ子ちゃんをやってみた感想は?」



やってみた感想って言ったって……



元々昨日は、佐伯家までのメモを忘れて道に迷うし、散々な目にあって。



チャンスだとばかりに実行した、瞳直伝のぶりっ子は無惨に交わされ、悪口の嵐。



雅さんに至っては、全く無反応だし。



唯一可愛いと言ってくれたのは、葵くんだけ。