「ねぇ、絃ちゃん。アイツを……蓮を救ってやってくれないかな」



「私が蓮くんを……」



「そう」



雅さんは真っ直ぐと私の瞳を見つめる。



そんな黒くて綺麗な瞳からも、雅さんの気持ちが伝わってくる。



弟を思いやる兄の気持ち。



やっぱり、雅さんは素敵なお兄さんだ。



「私、蓮くんのこと救ってあげられますかね」



はっきりと言えば、そんな自信なんてどこにもない。



雅さんの気持ちに答えたい気持ちはあるのに、自信を持って"はい、わかりました"とは答えられない。