「絃ちゃん?行こっ」 「うん」 放心状態になっていた私は、葵くんに誘導されてソファーに座った。 雅さんは手際よくコーヒーを入れて、持ってきてくれた。 「ありがとうございます」 「どういたしまして。それで、蓮のことだよね」 「……はい」 いつもは賑わうリビングに、異様な空気が漂う。 緊張感漂うその雰囲気に、唾をごくんと飲み込んだ。 雅さんと葵くんから聞いた、蓮くんの過去の話は…… また残酷だった。