「ねぇ、絃?」



「何?」



暖かいお風呂も上がって、瞳の部屋で飲み物を片手にくつろいでいる時。



不意に声をかけてきた瞳。



それも、いつもに増して真面目そうに。



「きっと家で何かあったんだろうと思って聞かずに我慢してたけど……やっぱりこのままじゃダメなんじゃない?一体何があったの?」



そう、私は瞳の家に逃げてきてからというもの……



その理由をまだ瞳に話していない。



何度も聞こうと私の様子を伺っている瞳がいたけれど、その度に黙り込んでしまっていて、話せずにいた。



優しい瞳もまた、そんな私の姿を見て深く追求しては来なかった。



「……この前、髪を切って染めて、パーマをかけた日。そんな変わった私を見てもらおうと家に帰ったらね、蓮くんの様子がおかしかったの」



私が帰ってからの葵くんの様子から、蓮くんや雅さんの様子……



一つ一つ思い出しながら、瞳に話した。



「それは何かあるわねぇ?葵くんと雅さんも何か知ってそうな雰囲気ね」



たしかに、あの反応は何か蓮くんの事情を知っているようだった。