ごめん、瞳。



ダメだった……



『もしもし?絃?』



「うっ、瞳っ……」



『絃!?どうしたの?』



電話の向こうで瞳がびっくりしている。



だって、涙が溢れて止まらないから。



「瞳……ダメだったよっ」



喧嘩しちゃった。



酷いこと言われた。



悔しい。



あの時の余裕の欠片もない蓮くんの顔が、瞼の裏から離れない。



「助けて、瞳っ」



『今日は家においで?』



「……うん」



その日の夜、瞳の家にお邪魔して、瞳に抱きつきながらとにかく泣いた。



優しい瞳は、私に寄り添って、ずっと背中をさすってくれていた。



ありがとう、瞳。



私は、あの家に戻れるかな?



勢いで飛び出てきたのは私なのに、あの家に戻りたいと、どこかで思っている私がいた。