「ただいまっ」



私がリビングへと入った瞬間、私でも感じるくらい空気が凍りついた。



「絃ちゃん、それ……」



「これ?瞳がね、やってくれたんだ〜。どう?可愛いでしょ?」



そんな空気も振り切るように、その場でくるりと回って見せた。



けれど……その空気は良くなるどころか、より一層悪くなってしまった。



「今すぐ、今すぐ出てけ!俺の前に、その姿を見せるなっ!!」



「れ、蓮くん……!?」



声を荒らげたのは蓮くんだ。



その形相は恐ろしい程に、怒りで満ち溢れている。



そんなに私……悪いことした?



「絃ちゃん……行こう?」



私の後ろから葵くんが優しく、そう声をかける。



でも、突然怒り出した蓮くんに、納得がいかない。



「何よ!私がそんな悪いことしたの?」



「お前に、そんな格好似合わねーんだよ!!お前なんか、顔も見たくない……!」



酷い、酷すぎる……



あんまりだよ、蓮くん。



元々嫌味ばかりで、嫌な奴だったけど……



そんなに最低な奴だと思わなかった。



「私だって……私だって、可愛くなりたいって思うのはダメなの!?最低っ……蓮くん最低だよ、バカ!!」



そのまま私は、家を飛び出した。