わーい、と子どものようにはしゃぐ彼は、本当に可愛い。



「うるさい、葵」



「なんでそんなに不機嫌なの、雅兄」



「……」



「あーあ、行っちゃった。ごめんね絃ちゃん。雅兄は女嫌いなんだ」



不機嫌な理由はそういうことか。



納得はしたけれど、ところで私はここに住んでいいのだろうか。



「玄関に立ってるのもなんだし、中に入って!案内するよ」



「お、お邪魔します」



お言葉に甘えて、部屋の中へと入る。



さすが高級そうなマンション。



入口から広くて、私が住んでいた家とは比べ物にならないほど綺麗だ。



「蓮兄、絃ちゃんが来たよー」



「蓮兄?」



私にどうぞと言った、可愛い彼、葵くんはそう呼びながら奥へと入っていった。



聞き覚えのある名前に違和感を感じながらついて行くと、さらに驚きの真実が待っていた。



「……れ、蓮くん!?」



大きなガラスの窓から、22階からの景色が見えるオシャレなリビングのソファーに不機嫌に座っていたイケメンの彼。



それは、ついこの前知ったクラスメイトの佐伯蓮くんだった。