「嘘なんかつく必要ある?とにかくそんなに気に病む必要ないから。それに……」



それに……?



雅さんは、一度哀しそうな瞳を下に向けてから、微笑んで私を見た。



「絃ちゃんが俺を変えてくれたでしょ?」



「雅さん……」



よかった。



本当に、よかった。



「い、絃ちゃん!?なんで絃ちゃんが泣くの」



ふふ、雅さん。



クールなキャラがガタ崩れだよ?



雅さんが慌てることもあるんだね?



でも、この涙は嬉しいんだよ。



嬉し泣きってやつ。



ちゃんと認めてくれてたんだなって……嬉しくなっちゃったんだよ。



「上がったよ〜!絃ちゃん次お風呂……って雅兄!絃ちゃんのこと泣かせたの!?」



「え?いや、これは……」



「ううん、違うんだよ、葵くん。私のせいだからっ」



状況がいまいち飲み込めていない葵くんは、首を傾げる。



「ありがとう、雅さん」



「それはこっちのセリフ」



なんとかまだ私は、佐伯家にお世話になれそうです。