『これが、真実。どう？気が済んだ？……っ！』
そう言った雅さんの口元は笑っていたけれど、目はとても悲しそうで……
涙を流さずにはいられなかった。
いつもクールで、弱いところなんて一つも見せない雅さんが、目の前で震えている。
そんな姿を見て、何もせずになんていられなかった。
『……なっ、おい！離、れ、ろっ！』
雅さんの心が少しでも楽になるように……
ギュッと抱きついた私に、雅さんはもちろん驚いていた。
投げ払われてもおかしくない状況なのに、雅さんは私をそうはしなかった。
そしてこの日、私は初めて雅さんの涙を見た。
『バカ、泣いてねーよ』
なんて、誤魔化してくるけれど、そんなのはバレバレだ。
でも……
あんなに心配して、涙を流したのにだよ？
『それで？俺のことを見てくれている人って例えば？』
『え？』
『絃ちゃんじゃないの？』
『そ、そんなハズないじゃないですかぁ！！』
『くくくっ』
『笑わないでください！雅さんのバカー！』
そうやって私のことをからかって、笑い飛ばしたんだから。
酷いと思いません？
でも、そんな雅さんの滅多に見られないような貴重な笑顔を見て、安心もした。
さっきみたいな悲しげな表情なんて全くなくて、どこかスッキリしているように見えた。
