雅さん。



この家の長男で、女の人が苦手な人。



『そんなに聞きたいなら、話すよ』



ずっと気になっていた女嫌いの理由。



私が料理教室で習った肉じゃがを作ろうとキッチンで野菜と格闘していた時、余程心配だったのか手伝いに来た雅さん。



何としてでも一人で作って、3人を見返したかったけれど、結局圧力に負けて、手伝ってもらうことになった。



その中でほんの一瞬だけ雅さんと触れてしまった手。



雅さんの女嫌いは、本当に軽いものだと思っていたけれど、触れた瞬間の雅さんは見てわかるくらいに震えていた。



何度聞いても、過去を話すことを渋っていたけれど、少しずつ雅さんは打ち明けてくれた。



でも、その内容はとても残酷で……



雅さんの心を傷つけたその人たちを許すことが出来なかった。



全てを話し終えた雅さんの表情は、とてもじゃないけど、見ていられなかった。