いつの間にか震えていた体が、気づいた頃には止まっていた。



情けないな。



自分より年下の……弟と同じ年齢の奴に救われるなんて。



「私は、信じてます。雅さん、雅さんなら少しずつ前に進めますよ」



「……んだよ、これっ」



頬を伝わるひとしずく。



泣いたのなんて、いつぶりだろうか。



「泣いてもいいんですよ。お兄さんだからとか、男の子だからとか……関係ありません」



「バカ、泣いてねーよ」



バレてはいるけれど、泣き顔なんて女に見せられない。



背中から抱きしめてくる絃ちゃんに、そのまま背を向けたまま、しばらく俺は涙を流していた。



「それで?俺のことを見てくれている人って例えば?」



「え?」



「絃ちゃんじゃないの?」



「そ、そんなハズないじゃないですかぁ!!」



「くくくっ」



「笑わないでください!雅さんのバカー!」



これから少し、この生活が楽しくなるかもしれない。



そう思った。



ありがとう、絃ちゃん。



すぐにとは行かないけど……



少しずつ前を見てみようかと思う。