「これが、真実。どう?気が済んだ?……っ!」
一通り、話し終えた俺は、隣にずっと立ち尽くしていた絃ちゃんを見て、言葉を失った。
それは、絃ちゃんが泣いていたから。
「なんで絃ちゃんが泣いてるの」
「だって、だって……あんまりだよ」
他人のために泣けるなんてね。
どれだけ絃ちゃんは心が真っ白なんだよ。
だからかもしれない。
あんなに拒否してきた女を、唯一受け入れられたのは。
「……なっ、おい!離、れ、ろっ!」
ギュッと……
でも優しく俺を後ろから抱きしめてくる絃ちゃん。
俺の体がビクッと反応する。
でも何故か俺は、その俺の体に回された絃ちゃんの腕を……
振りほどく事が出来たはずなのに、それをしなかった。
……温かい。
母親に似たような、温もりを感じていた。
この子なら、絃ちゃんなら大丈夫。
信じられる。
なんの根拠もない、どこからが湧き上がってくる自信。
「大丈夫です、雅さん。その人たちのことは絶対に許せない!……でも、ちゃんとそんな雅さんを見てくれる人は必ずいます」
何故か、絃ちゃんの言葉が自然と心の中に入っていく。
不思議だ。