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中学3年生。
受験も近づき、周りの空気もピリピリとしている頃。
自慢でもないけど、それなりに勉強はできる方だった俺は、希望の高校もA判定で特に問題もなく、適度に気分転換と言いながら遊んで過ごしていた。
元々明るい性格で、まわりに友達は多かった。
いわゆる、クラスのムードメーカーのようなもので、ピリピリした空気も吹き飛ばすくらい笑って、楽しんでいた。
頭がいいからと勉強を教えて欲しいと頼んでくる奴もいる。
それは男女問わず。
その頃の俺は、来るもの拒まず……
頼られていることに喜びを感じていた。
「ねぇ、雅くん。この問題なんだけど……」
「えっと、これ?」
「あ、それ私もわかんなかったの!教えて、教えて!」
一人の子が話しかけてくると、あっという間にまわりを囲まれ、勉強会の開始だ。
苦でもなんでない俺は、一つ一つ丁寧に答えていった。
「ったく、相変わらずモテモテだな、雅は」
「こことここが違うんだよ」
俺のことをからかってくる友達に、自分の顔と頭を指さして、不敵な笑みを浮かべて言葉を返す。
「本当、嫌味しか言わねーよな。どうせ雅には勝てねーよ。……くっ、はははっ」
「当たり前、ははは」
それなりに楽しい学校生活を送っていた。



