「まぁまぁ、そう怒んないで。絃がそういうと思って……はい、これ」



「……何、これ」



「絃の新しいお家よ」



「……?」



お母さんから受け取った白いメモには、住所と簡単な地図が書かれている。



「ここは社員しか住めないし、早速取り壊しも始まるみたいだから今日は荷造りして、明日からここに住みなさい」



「と、突然何言ってるの。お母さんたちは?この家は誰の家?」



「もう、質問ばっかりなんだから。お母さんはお父さんについて海外に行くわ。あの人ったら家事何にもできないんだもの。そして、この家は、お母さんの知り合いに絃と同じ学校に通ってるお子さんがいて頼んだら、住んでいいわよって言われてね」