「ど、どうでしょう……」



「うん、美味しい……けど、確かに棚橋さんの言う通り何か物足りないわね?……そんな時は」



先生はニコっとしてから、何かを冷蔵庫へ取りに行った。



そして、前に立った先生は、パンパンと手を叩いて生徒達を注目させる。



「はい、皆さん。そろそろ味付けに入った頃よね?肉じゃがの味付けってなんか似てきちゃうでしょう?何か物足りない……ちょっと差をつけたい、そんな時は」



途中で話を区切った先生は、さっき冷蔵庫に取りに行ったあるものを取り出した。



「バター?」



「確かに、バターっていろいろな具材に合うわよね」



隣で瞳が大きく頷いている。



さすが料理好きな瞳。



「そう、バターです。皆さん騙されたと思ってひと欠片入れてみて?きっとビックリするから」



そう言って各班に配られたバター。



1つ鍋に入れて溶かしてみる。



全て溶けたところで、また味見をしてみる。