三年前、父がフィオナに殺され、国が混乱している時、俺は彼女を雇った。

フィオナに妹を殺されたらしいし、使えると思ったのだ。

死んだ父の侍女をさせているのも、父の遺体を腐敗させないため。

だが、彼女が魔女であることは、俺とディオンとラルフの三人しか知らない。

「お前には関係ない」

冷たくあしらい、そのまま自分の部屋に戻ろうとしたら、コレットは俺をからかうように言った。

「王太子さまだって人間ですものね。アンが欲しくなって襲った?」

俺を挑発するようなその漆黒の瞳。

コレットは俺の本性を知っているし、俺が悪魔と契約していることにもうすうす感づいているだろう。

それでもこうして俺に絡んでくるのだから、たいしたタマと言える。

無表情のまま黙っていると、コレットは俺の腕に馴れ馴れしく手をかけた。