「アン!」

滝壺に落下していくアンの姿を見て、俺は声の限り叫んだ。

「よそ見をしている暇はないんじゃないのか?」

黒い笑みを浮かべ、シャメルが俺の懐に入り剣で腹部を狙う。

「おじゃべりな口だな」

さらりと避けて、こいつの肩を斬りつける。

だが、咄嗟に黒い盾を出してシャメルは俺の攻撃を防いだ。

どうやら、こいつも悪魔と契約したらしい。

早くアンを助けないと危ない。

彼女は泳げないのだ。

「これで黙ってろ!」

こちらも魔力を使い、光速の剣でシャメルの胸を斬りつけた。

「うわぁ~!」

シャメルが呻いて片膝をつく。

俺はその隙に、アンを救うため滝壺に飛び込んだ。

滝壺の底は深く、水は青く透き通っていた。

下の方から気泡がいくつも浮かび上がってくる。