「えーと、私の仕事ももう少しで終わるけれど。由香里は今何処にいるの?うん、表参道?へ?車で移動中?こっちに向かってるの?」


私の声を聞いてさっちゃんとあっちゃんが寄ってくる


「どうしたのなっちゃん?」


さっちゃんに聞かれて私は、由香里の事を伝えた。


「大学時代の友達が久しぶりに時間が取れたから会おうって。それが私の仕事場を伝えてはいたんです。そしたら今向かってるって言われて。ここに迎えに来るみたいで、大丈夫でしょうか?」


「あら、いいじゃない。ここは人の出入りもあるし、それが気にならなきゃ大丈夫よ」


そう社長のあっちゃんも言うのでホッとして、由香里に伝えようとしたら


「うん、電話口で話してくれたから聞こえたわ!もうすぐ着くから待っててね!」


そう言って電話が切れた。


「それにしても唐突ね、夏美のお友達」

そう言ってびっくりしつつも受け入れてくれたあっちゃんに、私は苦笑しつつも返す。


「由香里も最近忙しさが増してるので仕方ないです。やっと空き時間見つけて来てくれたんだと思いますし」


「それで由香里ちゃんって、お仕事は何してるの?」


『キンコーン』

事務所のインターホンが鳴り、モニターに由香里が映し出された。


「はい、オフィスアカリです。どうぞお入りください」


いつもの応対と変わらぬ様にして由香里を通した。


エレベーターホールで待ってると、開いたエレベーターから由香里が飛び出てきた。


「夏美!!元気にしてた?ニュース見た時は驚いて大丈夫か心配してたのに。一言仕事も住むところも見つかったから大丈夫。しかメール寄越さないから心配してたんだからね!」


抱きつくなり捲し立てた上に、デコピンをお見舞いされた私は額を抑えて、


「あのね、由香里。さすがに出会い頭にデコピンはやめて」


そんなやり取りをしている所に二人が様子を見に来た。


「ほら、そんな所で話してないでとりあえず事務所の中に入りなさい」

そう言われて由香里と二人事務所に入った。