凪の停学期間が終わると、凪はまるで別人となっていた。

美優がどれだけ近寄っても、突き放すばかり。

いや、拒絶のほうが当てはまるかもしれない。


支えてくれるって、言ったのに……

あれは、嘘だったの……?


母親が凪を責めなかったのは、凪が一匹狼になった原因が、美優にあると知っていたからだ。


美優は、自分がいじめられているときには、母親にはなにも言わなかった。


だが、自分をかばったことにより、凪がいじめられるようになったことを、美優は母親に話した。

そして、美優は母親から聞いたように、明るく凪と接しようとした。

しかし、凪は冷たく接するばかり。


それでも諦めずに凪を追いかけていたときに、事件が起きたというわけだ。


だから、美優は凪が母親に返した言葉が、自分が思っている以上に嬉しかったのだ。


そのため、余計に心の傷が深くなっていったし、凪に嫌われたと思った。


左腕の傷は、正直なんとも思わない。

むしろ、自慢したい。

凪を守ったからできた傷だ、と。


だから、凪が自分の傷を気にする必要はなかった。

それに、不良扱いだってなんてことない。


美優はなにがあっても、凪のそばにいたかったのだ。


それなのに、凪は拒絶する一方。


美優は徐々に諦めていった。

それと同時に、笑顔も消えていった。