サネムは、シュティーナの頬に自分の唇を寄せて啄むようにキスを落とす。それがくすぐったくて身を捩る。
「スーザントの家には同居している子がいるんだよ」
「同居? 誰と一緒に?」
思わず不安な顔をしてしまう。誰と暮らしているのだろうか。
「オス猫2匹」
そう聞いて、シュティーナはぱぁっと表情をさらに明るくした。猫は大好きだったから。
「今度、ちゃんと会わせるから。彼らにもきみを紹介しないと」
「懐いてくれるかなぁ」
「もちろんさ。きみには俺がもう懐いているし、仲良くしているところを見ていれば気持ちを許すと思うよ。こんな風に」
サネムはそう言うと、シュティーナの頬にちゅっとキスをし、チロリと舐める。
「やだ、くすぐったい」
抵抗とは名ばかりの仕草を返すと、サネムはシュティーナの唇を吸った。シュティーナも応えようと、歯を割って入ってくる舌を夢中で迎える。
「……ね、サネム。恋人はいるの?」
シュティーナがそう尋ねる。と、サネムは困った顔をした。
「なにを聞いているんだ」
「だって、お店で、結婚相手はほかに恋人がいるんだろうって言ったわ」
「なにを思い出している。俺にはきみしか見えていない」
(分かってる。あのときは、サムがサネムだって分からなかったから)
いじわるを言いたくなってしまったのだ。シュティーナは口を尖らせた。
サネムの手はシュティーナのゆったりとした寝間着の胸元に結ばれたリボンにかかっている。スルリと解くと、白い肌が露わになる。
「きみのほかに、知らないよ。触れたことも無い」
「本当に?」
「そんなふうに言えないくらい、これからきみのことだけを愛すのだから。覚悟して」
囁く唇がシュティーナの唇を捉える。シュティーナは甘い感覚に崩れ落ちそうで怖くなり、サネムの腕にしがみついた。なにも遮るものがないサネムの愛は、怖いぐらい真っ直ぐ心へ届く。それと同じぐらい、シュティーナもサネムを愛したいと思う。
シュティーナの頬や首筋を彷徨っていたサネムの指先は、唇をそっとなぞる。指の感覚に震えが走って、シュティーナは目を閉じた。サネムの手は、シュティーナのゆったりとした寝間着の胸元に結ばれたリボンにかかっている。
「きみに触れていいのも、俺だけだ」
サネムはリボンをスルリと解いてしまった。白い肌が露わになる。
「サネム……婚儀もまだなのに」
シュティーナは、サネムの体温を感じながら、白銀亭での夜を思い出していた。あのときは切なくて仕方がなかった。これからは、あんな思いはもうしなくて済むのだ。
「やっと捕まえたんだ。恋しくて夢に見ていたきみが、こうして腕の中にいる」
サネムにきつく抱かれながら、シュティーナは自分の心にサネムへの思いをあらためて刻み込んだ。
「もう、我慢なんて……できない」
「サ……」
シュティーナの言葉は、サネムの唇に止められる。追いかけて、追いかけて、やっと会えた、愛おしいひと。離したくなくて、離してほしくない。口付けを受けながら、シュティーナはサネムの首にすがりついた。サネムの吐息が熱くて、触れる部分すべてが熱を持っていく。受け入れる痛みは、愛のしるし。喜びすら感じる。掠れる自分の声が、サネムの唇を掠(かす)めていった。
「シュティーナ、愛しているよ」
わたしも。返事はうまく声にならない。耳元で囁かれた愛の言葉は、シュティーナの細胞を、次々と開花させていった。
「スーザントの家には同居している子がいるんだよ」
「同居? 誰と一緒に?」
思わず不安な顔をしてしまう。誰と暮らしているのだろうか。
「オス猫2匹」
そう聞いて、シュティーナはぱぁっと表情をさらに明るくした。猫は大好きだったから。
「今度、ちゃんと会わせるから。彼らにもきみを紹介しないと」
「懐いてくれるかなぁ」
「もちろんさ。きみには俺がもう懐いているし、仲良くしているところを見ていれば気持ちを許すと思うよ。こんな風に」
サネムはそう言うと、シュティーナの頬にちゅっとキスをし、チロリと舐める。
「やだ、くすぐったい」
抵抗とは名ばかりの仕草を返すと、サネムはシュティーナの唇を吸った。シュティーナも応えようと、歯を割って入ってくる舌を夢中で迎える。
「……ね、サネム。恋人はいるの?」
シュティーナがそう尋ねる。と、サネムは困った顔をした。
「なにを聞いているんだ」
「だって、お店で、結婚相手はほかに恋人がいるんだろうって言ったわ」
「なにを思い出している。俺にはきみしか見えていない」
(分かってる。あのときは、サムがサネムだって分からなかったから)
いじわるを言いたくなってしまったのだ。シュティーナは口を尖らせた。
サネムの手はシュティーナのゆったりとした寝間着の胸元に結ばれたリボンにかかっている。スルリと解くと、白い肌が露わになる。
「きみのほかに、知らないよ。触れたことも無い」
「本当に?」
「そんなふうに言えないくらい、これからきみのことだけを愛すのだから。覚悟して」
囁く唇がシュティーナの唇を捉える。シュティーナは甘い感覚に崩れ落ちそうで怖くなり、サネムの腕にしがみついた。なにも遮るものがないサネムの愛は、怖いぐらい真っ直ぐ心へ届く。それと同じぐらい、シュティーナもサネムを愛したいと思う。
シュティーナの頬や首筋を彷徨っていたサネムの指先は、唇をそっとなぞる。指の感覚に震えが走って、シュティーナは目を閉じた。サネムの手は、シュティーナのゆったりとした寝間着の胸元に結ばれたリボンにかかっている。
「きみに触れていいのも、俺だけだ」
サネムはリボンをスルリと解いてしまった。白い肌が露わになる。
「サネム……婚儀もまだなのに」
シュティーナは、サネムの体温を感じながら、白銀亭での夜を思い出していた。あのときは切なくて仕方がなかった。これからは、あんな思いはもうしなくて済むのだ。
「やっと捕まえたんだ。恋しくて夢に見ていたきみが、こうして腕の中にいる」
サネムにきつく抱かれながら、シュティーナは自分の心にサネムへの思いをあらためて刻み込んだ。
「もう、我慢なんて……できない」
「サ……」
シュティーナの言葉は、サネムの唇に止められる。追いかけて、追いかけて、やっと会えた、愛おしいひと。離したくなくて、離してほしくない。口付けを受けながら、シュティーナはサネムの首にすがりついた。サネムの吐息が熱くて、触れる部分すべてが熱を持っていく。受け入れる痛みは、愛のしるし。喜びすら感じる。掠れる自分の声が、サネムの唇を掠(かす)めていった。
「シュティーナ、愛しているよ」
わたしも。返事はうまく声にならない。耳元で囁かれた愛の言葉は、シュティーナの細胞を、次々と開花させていった。



