【短】君とホットケーキ



 だからこそ寂しかった。付き合っているのかさえ、わからなくなってしまった。


 アルバムにある思い出も写真だけで、お互いの心からの言葉がなかったから距離を感じたんだ。


 色がなかったんだ。


 だって、写真を撮ったら終わり。思い出して楽しんだり、笑って話をするなんてなかった。


 心に残るわたしたちが歩いた道を描いてなんていなかったから。


 ただ、残してきたもの。



「おれ、歩美が好きだから。バイバイなんて言うなよ」

「ごめん……」



 バイバイって言ったの気づいてたんだ。
 わたしの言葉もちゃんと覚えてくれていたんだね。


 きっと頼ってくれなくて、晴斗先輩も寂しい思いをしていた。
 同じように本心がわからなくて、わたしも寂しくて。