夢乃くんにご注意ください



「すいません、ごめんなさい!」

そう謝っても夢乃くんの顔は変わらない。


「子どもだって言ったよね?じゃあ、子どもじゃないとこ見せてあげようか?」


そう言って、私の胸元のリボンをいとも簡単に解いてしまった。

また心臓がバカになる。


――『今はそういう気持ちになれないんだ、ごめんね』

あんなことを言ってたくせに、私をこうやって苛めて楽しんでる。

ドキドキよりもなんだかイライラしてきて、私は夢乃くんを突き飛ばして廊下へと逃げた。


「あ、こら」

「夢乃くんにはもう振り回されません!」

今度は私が子どもみたいに「ふん」とそっぽを向いて歩き出す。すると夢乃くんは引き止めるように私の名前を呼んだ。


「瑠花。今日一緒に帰ろうよ」

さっきまで怒ってたのに今度は優しい顔。

……もう、なんなの。


「音弥のこと、心配だからさ。瑠花になにかあったら困るし。だから一緒に帰ろう。ね?」

その〝ね〟は反則だって分かってるのかな。

そんな可愛く言われたら私の答えはひとつしかない。


「帰り……ます」

すると夢乃くんは「いい子」と私の頭を撫でて選択授業へと向かって行った。