夢乃くんにご注意ください



現実世界に右京さまがいたらと何度も思った。

右京さまがいたら大好きな勉強は二の次にして恋愛にのめり込んでもいいかな、と妄想したりした。

でも、まさかこんな展開になるなんて……。


「ねえ、なんで音弥に気に入られてるの?」


そして次の日。昨日から夢乃くんの不機嫌は続いていて、私は強制的に階段下へと連行されてしまった。


「なんでと聞かれても……」

私が一番よく分かってないというか、からかわれただけのような気もするし。


「そ、それよりも選択授業ですよ。早く移動しないと!」

それでも夢乃くんは私を壁に追い込んで行く先を塞いでいる。


「遅刻しちゃいますよ」

「別にいいよ。俺は瑠花と違って優等生じゃないし」

「なんだか子どもみたい」

「は?」

つい口が滑ってしまって慌てて口を閉じたけれど、もう遅い。可愛くて天使みたいな顔の夢乃くんが怒っている。


「今なんて言ったのかな?」

夢乃くんがさらに詰め寄ってきた。

普段怒らない人を怒らせてはいけないというのは本当だったらしい。