結局、夢乃くんは音弥くんの話を嫌がって右京さま問題は曖昧に終わってしまった。
「仁科。これ視聴覚室に持っていってくれるか?」
そして午後の授業が終わって、私は先生に雑用を押しつけられた。まあ、他に頼める人がいないし仕方ない。
「はい、いいですよ」
なにやら資料の入った段ボールを渡されてけっこう重い。
ああ、こんなときゲームの世界だったら右京さまが現れて『持ってやるよ』と軽々しく運んでしまうんだろうな。
そんな妄想をしながらも現実は厳しく、私は3階の視聴覚室へと荷物を運び終えた。
そして教室に戻る途中の廊下で突然「好きです!」と声が聞こえた。
慌てて曲がるのをやめて、顔を覗くとそこにいたのは1年生の女の子。
顔を真っ赤にしてウサギのように震えている。
邪魔をしてはいけないと思いながらも告白されてる相手が気になってもう一度顔を覗くと、そこにいたのは紛れもなく夢乃くんだった。



