そして先生が来るとすぐに授業がはじまった。
考えてみれば授業中は安全なわけだし、夢乃くんとも席が離れているから問題はない。
チラッと確認すると夢乃くんも真面目に授業を受けていて罰ゲームという言葉に過敏に反応してしまったけど、そんなに心配はなさそうだ。
すると黒板に数式を書き終わった先生がチョークのついた手を払いながら言う。
「この公式が解ける人、手あげて」
おかしいぐらい静まり返る教室。
それもそのはずだ。うちのクラスはどちらかといえば体育会系。勉強が得意な人は私ぐらいしかいない。
だからこそ私はクラスで浮いてしまってるというか……まあ、その分マラソンや体育祭は私が足でまといになってしまうんだけど……。
こうなると先生の視線は必然的に私へと向けられる。
「じゃあ、仁科。前に出て書いてくれるか」
「はい」
優等生である宿命だ。