なんでと言われても家族以外にはずっとこうして接してきたし、とくに理由はないんだけど……。


「しいて言うなら敬語のほうが落ち着くから、ですかね?」

「ふーん」

聞いといてその反応はどうなんだろうか。

夢乃くんは柴犬系だと勝手に思ってたけど、なんだか最近は気まぐれ猫に近い。

そういえばゲームのキャラクターに猫系男子っていないな。でもなんだかワガママそうだし、振り回してきそうだから私は選ばないかも……。


「今から敬語禁止ね」

「え、え?」

夢乃くんは私の話を聞いていたのだろうか。今落ち着くと言ったばかりなんだけど……。


「敬語で話したら罰ゲーム」

「ム、ムリですムリです!」

全力で拒否。


「なんで?右京さまにはタメ口でしょ?」

「そ、それはゲームだから……」

「じゃあ、これもゲームと思えばいいじゃん」


「ゲームは得意でしょ?」と煽られる言い方をされて、思わず「得意です、けど」と言い返してしまった。

すると夢乃くんはニヤリと笑って私の頭をぽんぽんする。


「今からスタートね」

なんだか夢乃くんがものすごく楽しそう……。