私のドキドキなんてお構い無しに夢乃くんはお弁当を食べ始めた。まあ、作ったお弁当をこんなに美味しそうに食べてくれるなら文句は言えないけど。


「……彩芽ちゃん大丈夫そうですか?」

私が気にするのも変かもしれないけど、すごくすごく心配だ。


「さっき写メがきたよ」

「写メですか?」

「音弥から」

届いた写真を見せてもらうとそこにはテーブルに並べられたたくさんの食べ物。そして不意打ちに撮ったような彩芽ちゃんの写真。


「なんか学食のメニュー片っ端からおごらされてるらしいよ。彩芽がヤケ食いしてるんだって」

たしかに音弥くんはおごってやると約束をしてたけど……。


「こんな写真を夢乃くんに送ったら彩芽ちゃんは怒るんじゃないですか?」

明らかに音弥くんが勝手に撮った角度だし、食べてる顔も私から見れば可愛いけれど。


「はは、今ごろ音弥とケンカでもしてるんじゃないかな」

なんだかその光景が目に浮かぶ。


「まあ、いつか音弥の気持ちが報われて彩芽も自分のことを大切に想ってくれている相手に気づけばいいなって友達として願ってるんだけどね」

夢乃くんはそう言いながら甘い卵焼きを食べる。


やっぱり3人の関係性はすごく素敵だ。